昆虫標本の作り方 本文へジャンプ
解説記事


軟化展脚法(なんかてんそくほう)

標本の入手ルートはいろいろとあります。標本販売店にて乾燥標本(かんそうひょうほん)を購入したり自分で採集し取っておいた物、飼育中に死んでしまったもの、
ここでは乾燥(かんそう)している状態(じょうたい)から作成する方法を説明いたします。

標本の保存状態(ほぞんじょうたい)を確認する

標本は保存状態が悪いと軟化(なんか)できません。これは腐敗してから乾燥したものや害虫に食べられてしまった物です。特に腐敗が進んだ物は軟化時にバラバラになります。軟化前に腐敗臭(ふはいしゅう)のあるなしを確認しましょう。写真は飼育されていた昆虫を持ってこられた物です。

販売されている保存状態のよい標本


保存状態の悪い標本
乾燥が不完全でパックしていた為にカビがはえてしまってます。カビだけであれば綺麗になりますがこのような事にならないよう乾燥後の保管には乾燥剤を入れてタッパー等にて収納するようにしましょう。


それでは今回、保存状態のよいパプアキンイロクワガタを軟化展脚していきます。
まずはパッキングよりクワガタを取り出します。カッターナイフでクワガタの周りを切り取りましょう、フセツを切らないように注意しましょう。


湯銭を行います。温度約60度のお湯に標本をいれます。このサイズですと10分ほどで軟化できました。
昆虫のサイズにより湯銭時間はかわります。



軟化が完了しましたら各間接をよくほぐして下さい。壊れやすいので慎重に!



ここから昆虫標本作成セットを使用します。パックを開けてご用意下さい。



展脚版へクワガタをおきますが、今回はジオラマ標本を作製してみましょう!
まず、昆虫の体を浮かせるためにペフ紙を小さく切ったものをセットします。こちらは作成セットのペフ紙(小)を切って作って下さい。

今回、クワガタが威嚇している所を作成します。まずは胴体を動かないように固定します。クワガタに針を直接刺すことはしません


ジオラマに仕上げる場合は脚の太いところからとめていきます。理由は胴体を針刺しせずに押さえているのでしっかりした部分を後にすると全体が動くことがあるからです。
今回は後脚から決めていきます。
ツメにかんしてはツメの間へ針を刺しひろげてとめます。細部ですがこれでリアル感はアップします。



全体のスタイルが整いました。上からの写真です。
標本作成セットにはパールピンが30本入っています。今回は25本を使用しました。



横からはこんな感じです。胴体を浮かすことでリアルになることが分かっていただけますでしょうか。



後は乾燥を行います。軟化を行った標本は生体から殺虫による標本にくらべて短期間で乾燥します。
1ヶ月もすれば完成します。乾燥の
間に害虫に食害されることもありますので置き場所には注意して下さいダンボール箱等にいれて乾燥を行うのであれば中に防虫材を入れておくと安心です。防虫剤は成分によりプラスチックを溶かすものがありますのでプラスチックの箱を標本箱とされる場合はご注意下さい。私が使用している防虫剤をご紹介しておきます。